当社PFP研究所(西坂洋一主任研究員)では、昨年に引き続き「統合報告書」の実態について調査しました。
日本企業の統合報告書(アニュアルレポート、コーポレートレポートなど名称はさまざま)の発行企業数は、年々増加し、関心も高まっており、日本経済新聞統合報告書アウード参加企業は387社に達しています(日経新聞2022年11月30日付け)。今回は、昨年調査した企業に20社加え、170社を調査しました。
主な傾向は次の通りです。※割合は調査した170社を母数にしたもの
気候変動への取り組み
世界的にも企業の重要課題と認識され、「気候変動関連情報開示タスクフォース(TCFD)」に関する取り組み項目について、企業開示の割合は、2019年版で38%、2020年版では60.1%、2021年版では、68.9%と一旦落ち着きましたが、2022年度版では、85.9%と大きく伸びました。プライム市場の上場企業はTCFDの開示を義務化されますので、企業数は増加しています。
サステナビリティ/ESG
2021年版の22.0%から58.2%と大幅に増加しています。これは、「サステナビリティ(持続可能性)」という用語が世間で一般的に周知されていることと関連があると思われます。一方で「ESG」を項目に使用している企業は22.0%→24.1%と頭打ちですが、非財務活動をESGのカテゴリーで区分する方法は多く見られます。
リスクと機会
2019年4月にIIRCが発表した世界10カ国50社の統合報告書調査で、日本企業の統合報告書は、リスク情報の開示が少ないことを指摘していましたが、今回の調査では2020年版の42.0%から43.8%へ僅かですが増加していることが分かりました。
マテリアリティ
掲載率が2020年版の55.8%から2021年版では69.8%へと増加し、2022年版では80.6%へとさらに大幅な増加を示しています。統合報告書は自社の長期的な価値創造を伝えるメディアですので、マテリアリティの重要性の認識が年々高まったものと考えられます。
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